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新谷暁生著 「北の山河抄」 東京新聞発行 を読み終えて

この本に書かれている大半の事は安全についてである。口が酸っぱくなるほどリスク管理について繰り返し書かれている。
「安全に対する考えは海も山も変わらない。どちらも手抜きをすれば、事故につながる。どんな事故にも必ずそれが起きる理由がある。そしてどんなに用心しているつもりでも事故を起こす。」

「自己責任と自業自得は違う。山や海に安全などないことを私たちは知るべきだ。」

「登山やカヤックは厳しいスポーツだ。真面目に取り組まなければならない。(中略)悪天候を失敗の理由にしてはならない。そんなものは自然の中では当たり前のことだ。未熟であることが事故の原因なのだ。」

「経験値を高める努力を続け、運をあてにしないこと、それが生き延びるためには重要な事だ。」

「事故は人間が起こす。ある人にとっては危険でも、危険を知る人はそれを避ける。」

「自由と安全を両立させる。」

「事故には必ず原因がある。そして用心すれば事故に遭わずにすむ。不可抗力な事故などない。自然の中で
生きるためには臆病さと勇気、その両方が必要なのだ。」

「山も海も同じだ。どちらも同じように危険が潜む。それを回避し、乗り越えていくのがこのスポーツだ。真摯に事を進めなければならない。用心深くなけれなならない。」

「天候は与えられた条件だ。悪天候にどう対処するか、その判断は自分でしなければならない。多くの事故は悪天候の中で起こる。しかし天候だけが原因なのではない。事故は私たちの未熟さが引き起こしている。」

「今までうまくいってたとすれば、それはただ運がよかっただけかもしれない。運に恵まれすぎると人は傲慢になる。そしてそれに見放されるまで過ちに気付かない。」

「地道な経験の積み重ねや修練は軽んじられ、人々は安易に自然へと踏み出し始めた。尖鋭的な登山家は孤高を保ち、冷ややかに沈黙した。その一方で、多数の大衆登山を支える登山家が生まれ、カヌーやラフティングなど多くのスポーツがアウトドアの名の下で発展した。」

「雪崩遭難者のほとんどが今日行われている雪崩講習の受講者だという意味は重い。」

散々安全について語った後でいきなりの次の言葉、

「行くも勇気、退くも勇気という。しかし必要なのは、やはり前に進む勇気だ。退く勇気とは言い訳にすぎない。」

 この言葉は僕にとって衝撃的だ。潔さを感じる。山や海で真摯に経験を積んできた新谷さんだからこそ言えることだと思う。
 僕は京都北山の芦生を歩くのが好きだ。道標が少なく枝にテープも巻かれていない。読図できない者はこの山に入るなと言うことのようだ。実際山に入って迷う例は多々ある。遭難・死亡事故も多発している。その為入林が許可制になっている。山行計画書を事前に提出して許可を得なければならない。
 この年齢になってアウトドアを始めて、大した冒険はできそうにないが、芦生の森を自由に歩けるようにはなりたいと思っている。所謂バリエーションルートを歩く能力が求められる。
 3年ほど前この森に入るようになった頃は林道から森に三歩足を踏み入れたら、もうどこをどう歩いたらいいのか全く分からなくなった。次の一歩が進まない。
 それが今では結構困難な尾根を支尾根に足を踏み入れつつも、地図とコンパスと地形を見つつ、何とか自分で修正しながら歩けるようになってきた。ソロで入る勇気もできた。
 西穂高から奥穂高までの尾根を縦走したいと以前このノートで書いたが、自分の能力を棚に上げてこのようなことを言うのは身の程知らずで傲慢の極みだが、このルートは所詮正規の登山ルートだと思っている。岩に〇や矢印や×が書かれている。ルートの指示がされている。よくは知らないが奥穂の南陵や剱岳の源次郎尾根のバリエーションルートの方に心は動く。西穂奥穂はその為のステップだ。シーカヤックで潮岬を回る方が圧倒的に困難で魅力的だ。海には道標もトレースもない。

「困難を乗り越えて得られる感動を求めて、私たちは山や海に行く。」

「現在地を知ることは、自然の中で行われるスポーツの重要な技術であり面白さだ。ホワイトアウトの中で自分の居場所がわからなければ、遭難する。そうならないために、私たちは地図と磁石を使う。地形が見える時に地図が読めても、それを読めたとはいわない。(中略)地図が読めるとは、何も見えない中で現在地を知ることができるということだ。」

「装備は素晴らしく進化した。しかし現代の登山家やスキー登山家の行動は画一的に思える。そして昔に比べ、行動範囲はむしろ狭まっているような気がする。」

これらのことを肝に銘じつつ、僕は今回この本を読んで、アウトドアにおける「自由」「勇気」「経験」ということについてじっくり考えなければならないと感じている。
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